はじめに

早稲田大学が看板学部である政治経済学部の一般入試で、「数学」の必須化を発表して話題になっていましたが、みなさんは「数学」を学ぶことについてどのようにお考えですか?

 

  • 「数学を学んだが実社会でどのように役に立っているかわからない」
  • 「微分・積分なんか大人になって全く使わないから意味がない」
  • 「算数はまだしも数学は好きな人だけ学べばいい」

 

このように考えている人は多いのではないでしょうか。私も今まではその一人でした。しかし、次の朝日小学生新聞の記事を読んで変わりました。

算数や数学は将来、どう役立ちますか?

 算数と数学はひとくくりにできません。算数は「3割引ならいくら安い?」「4人分のレシピで3人分の料理をつくる」といったときも必要で、生活に直結しています。解き方がわかる問題をすばやく正確に解くことが重視されます。

 中学受験の算数や数学は大人でも意義を実感していない人が多いですね。「社会人になって使ったことがない。数学は選択科目でいいのでは」という声を聞くこともあります。でも、先進国では数学は必修。期待されるのは未知の問題を解く力です。それには論理的思考力、さらに、ほかの人にわかるように伝える表現力が求められます。

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(出典:朝日小学生新聞)

 

これは朝日中高生新聞で数学のコラムを連載し、数学塾の塾長もつとめる永野裕之さんのインタビューです。この記事を読んで数学について今一度考える機会を得ることができました。

 

数学で身につく力とは

数学を学ぶことが必要かどうかを考えるためには、そもそも数学でどのような力が身につくのかを考える必要があります。

永野さんは数学で次のような思考力が身につくと述べています。

数学で身につく思考力

  1. 情報の整理
    • 表やグラフに図解する
  2. 多面的に捉える
    1. 具体化
      • 例をイメージする
    2. 抽象化
      • 本質をよりすぐる
    3. 分解
      • 要素を分ける
    4. 変換
      • 置き換える
  3. 総合・説明
    • これまでの過程を総合的にとらえ、他の人に説明する

 

「数学で身につく思考力」と表現されていますが、これはつまり「数学の問題を解くプロセス」といっても良いのではないでしょうか。あまり考える機会はありませんが、言葉で明確に表すとこのようになるのですね。数学を学ぶことにより将来役立つ力が身につくことがよく良くわかります。

 

また、数学の問題を解くということは、機械的にただ数字や記号で作られた問題を解いて答えを出しているわけではなく、論理的思考力を養っているということです。そして、「答えを出す」ことではなく、論理的思考力を養う「過程(プロセス)」が重要だということもわかります。

 

今回ご紹介した記事でも、公式や解き方を丸暗記するのではなく、なぜその公式で答えが出るのかといった結果よりプロセス(過程)を大事にするよう述べられています。

 

みえにくいが確実に養われ役立つ力

今まで全く意識したことはありませんでしたが、「数学で身につく思考力」(1.情報の整理 2.多面的に捉える 3.総合・説明)を考えると、数学を学んだことは今、確実に役立っているのではないかと感じています。

文章を書く、話すといったことをはじめ、仕事をする上で「1.情報の整理」「 2.多面的に捉える」「 3.総合・説明」は必要不可欠です。

ただし、私たちがそうだったように、数学を学ぶことがどのように役に立つのかはっきりしないまま学んでいる子どもたちは多いのではないでしょうか。思考力が伸びているかどうかも実感しにくいところがあります。

だからこそ、数学を学ぶことでどのような力が身につき、どのように役立つのかを認識させることは、とても大切だと考えられます。